2008年 02月 12日
『マタンゴ』~上映会&梶田興治・佐原健二トークショー その1
『マタンゴ』に関しては最近東宝特撮を見始めた私などが説明するのもおこがましいので割愛しますが、特撮物と云うよりは人間ドラマがよく描かれていて、非常に面白かったです!!
梶田監督は本多猪四郎監督の“懐刀”で、本多監督は『(スケジュールが)空いてる限り梶ちゃんを俺に付けてくれ!』と会社に頼んでいたそうで、本多監督の信頼は絶大だったようです。ですから本多監督の多くの作品でチーフ助監督を勤めらていらっしゃいます。
監督はかなりご高齢だと思うのですが、非常にお元気できちんと当時の資料をご持参されてトークに臨まれていました。お話も快活明瞭で当時の色々なことをお話してくださいました。
トークの時に監督が披露してくださったエピソードを♪
ラストシーンで精神病棟に隔離された主人公・村井こと久保明さんが振り向いた瞬間、顔にキノコが付いているという衝撃的なシーンで終わるのですが、実は当初はキノコも何もない綺麗な顔で終わる方がもっと不気味なんじゃないだろうかと云うことで撮影したんだそうですが、プロデューサーの田中友幸氏の意向であのような顔のラストになったんだそうです!?あの方が観客に判り易いだろうという事だったそうです。
梶田監督曰く、『フィルムは残ってるはずだ』と云うことなので新たにソフト化される折には是非特典映像などで見てみたいものです。
それとキャスティングについて、実在のモデルが居たんだそうで土屋嘉男さん演ずるヨットオーナーは西武の元オーナーだった堤義明氏、太刀川寛さん演ずる推理小説家は大藪春彦氏、小泉博さん演ずるヨットの艇長は、ヨット航海で数々の記録を持つ堀江謙一氏がそれぞれのモデルなんだそうです。
そうそうクレジットに死神博士(笑)こと天本英世さんのお名前があったので、最近見た東宝作品には案外欠かせない“悪役”として登場されていたのでどこに出てくるんだろうと思ってみていたのですが、結局最後まで分りませんでした。するとなんと“キノコ人間”と化したゾンビ役で出てたんだそうです!?特殊メイク風になっていたので分からないはずでした(笑)。
ウルQのクランクインは皇居前のお堀端でのシーンなのは有名ですが『「漸くココまで来れたか・・・」と思った。』としみじみと語って下さったことが非常に印象的でした。それほど撮影にこぎつけるまでが大変だったんだそうです。
佐原さん以外の“二人”のキャスティングも梶田監督の意向が反映されたんだとか。
『マンモスフラワー』『変身』『悪魔っ子』『206便消滅す』『甘い蜜の恐怖』の5本を撮っていらっしゃいますが、撮影監督だけでなく実務的なことにも深く関わられていたそうです。
トークショーの最後に、どなたかが『(梶田監督が関わられた作品をある意味)自分の作品だとは思わないか?』みたいな質問をされたのですが、監督は『いえ、ありません。あれは本多監督の作品です♪』ときっぱりと仰られたのですが、その言葉の中に本田監督に対する梶田監督の尊敬の念と云うか“師匠”として今でも慕ってらっしゃる様子が感じられた気がしました・・・。
もっともっと色々なお話が伺えそうなので、是非またお逢いしたいです♪
つづく。。。